第2回 「イタリアの失業対策」

諸外国の労働環境から見るニッポン

イタリアというと、ラテン系で陽気な国というイメージがありますが、実はギリシャやスペインなどと並んで非常に失業率が高い国の一つです。

イタリアにおける失業率は1998年頃以降は好調な欧州経済を背景に減少していたものの、金融危機や世界的な経済低迷を迎えた2008年頃を境に上昇し、現在では12%を超えています。

特に深刻なのが25歳未満の失業率で、ついに40%を突破するという深刻な状況に陥っています。

政府は先ごろ15億ユーロ(1900億円余)を投入して臨時雇用者の正規雇用促進、訓練やインターンシップ、義務教育終了者を対象とするプログラムなどの強化を実施すると発表しましたが、これがどのように効果を表すか今後注目されるところです。

さて、そんなこんなで失業対策に奔走するイタリアですが、労働者に対する失業給付は日本と比べてどのように違うのでしょうか。

給付は基本的に年齢が50歳未満か50歳以上かによって取り扱われ方が変わります。

50歳未満には最初の6ヶ月は平均賃金の60%、次の2ヶ月は50%の合計8ヶ月支給されます。

50歳以上では受給期間は12ヶ月となり、最初の6ヶ月が平均賃金の60%、7ヶ月以降も50%から40%へと、双方とも段階的に減らされる仕組みになっています。

そして日本と違っている個所は、受給が始まっても再就職のための個別プログラムへの参加を拒否した場合や、失業前の80%以上の給与がある職へ応募しない場合、さらには公共企業の業務・サービスに雇用されることを拒否した場合には支給が停止されるなど、厳しい要件となっています。

しかし何より日本と大きく異なる点は、イタリアにおいては自発的な理由で退職した場合は原則的に失業給付が支給されないということでしょう。

しかもヨーロッパは総じて解雇規制が強く簡単に解雇が出来ない仕組みがあるので、実質的に失業給付制度などそもそも存在しない、という認識の人が多いです。

日本においては元々離職の理由に依らず受給日数が決められていましたが、平成13年度の法改正で自己都合退職者等は受給日数がかなり短くなってしまいました。
減ったとはいえ、それでも給付が受けられるだけましと言えるのかもしれません。

ちょっとした事で簡単に仕事を辞めて失業給付をもらう、ぼちぼち仕事を探します、といった甘い制度よりもこのイタリアのような制度を取り入れる事はナンセンスだとは思いません。

働いて(勤労)税金を納める(納税)事は日本人の義務です。
この失業給付制度もそうですが、本当に国民のためになる、という事はどういう事なのか?考えていってほしいです。

●次回はアメリカの労働契約について取り上げます。

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