第5回 「デンマークの職場満足度」

諸外国の労働環境から見るニッポン

突然ですが、皆さんは現在の職場に満足していますか。
または従業員の方々はどのくらい職場に満足していると思われますか。

オランダのある企業が2010年に25カ国に対して実施した労働者意識調査の結果、現在の職場に「非常に満足している」または「満足している」という回答をした割合が最も低かったのは日本で、わずか40%だったとのことです。
因みに25カ国の平均は70%だといいますから、これがいかに低いかがよくわかります。

一方で満足度が高いのが北欧諸国。その中でもデンマークは84%が満足していると答えています。

満足度を引き上げているポイントは「仕事の自由度、自主性、同僚とのコミュニケーション」といった要素のようで、残業もほぼなく、仕事よりも家庭優先で、そのような考え方が一般的であるため、職場もそれを許容する土壌が出来上がっていることが大きいと思われます。

さらには他のヨーロッパ諸国同様長い休暇を取る習慣があり、取得できる休暇日数にも満足している回答が多いようです。また大半が休暇の後は業務効率が著しく改善すると回答していることも注目に値します。

ところでデンマークでは基本的に夫婦共稼ぎが一般的で「専業主婦」という概念がほぼ存在せず、女性の社会進出率でみると20~60代で80%以上もあります。
女性が働くことが出来る環境が整っているという証拠ですが、それはすなわち国のバックアップが整っているということです。つまりは保育施設やその費用的負担の少なさなどについて非常に行き届いている社会であると言えます。

このことをはじめとして、デンマークは高負担・高福祉国家の代表のような国です。
日本でも何だかんだともめている消費税率は25%、所得税は55%という高率ですが、医療費も介護も教育に至っては大学まで無料となっています。当然生命保険という考え方も必要なく、年金制度も必要ありません。老後に至るまで生活の心配がないという社会です。これが理想の制度かどうかはともかく、このような国々が他の「国別幸福度ランキング」のような調査でも揃って上位に顔を出すのは偶然とはいえないでしょう。

仕事が充実していれば生活も充実、生活が充実していれば仕事も充実する…すなわちワークライフバランスがキーポイントといえるのかもしれません。

ワークライフバランスについては次回でももう少し考察を続けてみたいと思います。

●次回は「オーストラリアのワークライフバランス」を取り上げる予定です。

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