第2回「ホウレンソウ」

外国人労働者とのビジネスギャップ

日本のビジネスシーンで重要視される「ホウレンソウ」。仕事をするうえで重要ですか?
不要ですか?という意識調査結果を残念ながら見たことがないのですが、おそらく
大多数の方が重要です、と答えるのではないでしょうか。なかにはこれができなければ
一人前とは言えない、とおっしゃる方も多いことでしょう。

以前ある報道番組で見たのですが、外国人の方にとってはこの報連相に違和感を感じることが
あるようです。それはビジネスというものは、成果を出す行為自体に時間をかけるべきであって、
逐一上司へ進捗を報告する時間や行為、連絡事項を流すことに時間をかけるべきではない、
また自分に与えられた権限がないと仕事へのやりがいを感じない、失敗しても成功しても
細かい指示に従ったため責任の所在や達成感が薄れるので、いちいち報連相ばかりしている
のはおかしい、というのがインタビューを受けた外国人ビジネスマンの意見でした。

これは外国人の方に限らず、成果のみを重んじる日本人の方にも意外と多い意見であって、
極端な話ですが職務分掌が厳格に明確で、かつ完全成果主義方針をとる企業では職務遂行の
状態について日々明らかになり、できなければ自分で身を引くもしくは解雇という
究極の選択となり、現実問題として評価への不満やできない言い訳が原因で、見えない
水面下の労使トラブルが増加する傾向が強く出てきます。

実際のところ経営者の考えを全社員が完璧に理解し行動するとき、以心伝心、文書も会話も
なくともお互いの考えが通じれば全てうまくいくのでしょうが、社内外において報連相なく
これを完璧に実践するのは至難の業と思います。

お金を払う者といただく者の関係でも、比較的長期の業務であれば受託者側はクライアント
に対して途中経過を報告する義務があって、逆にクライアントは状況を聞く権利があります。
同様に不明点が生じた際は連絡するでしょうし、万が一業務遂行時に突発事項が生じた
場合は、社内外で報連相をフルに使いこなし、解決策を探すことでしょう。

「報連相」はその度合いや程度、環境や立場によって賛否両論の比率は変わってくるでしょうが、
重要なことは、報連相の行為そのものにあるのではなく、クライアントを不安にさせず良い
仕事をすること、社内でビジネスの失敗要因を取り除くこと、目指した業務の方向性から
外れていないか確認することを目的として、そのツールとしての「ホウレンソウ」という
位置づけ自体が間違っていないかを、日本人も外国人もともに重要視することにあるのかも
しれません。

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