第3回「留学生」

外国人労働者とのビジネスギャップ

早くもこのシリーズが第3回となりましたが、今回は外国人留学生に焦点をあてます。

2年ほど前、政府の教育再生会議にて2025年には受入れ留学生数を100万人にするという
「留学生100万人計画」を策定したり、昨年には文部科学省や関係省庁が中心となって
2020年を目途に「留学生30万人計画」を策定したりと、留学生受入れ人数についての
計画論をよく耳にします。

国内の外国人留学生数は昨年においては約12万人であり、アメリカに比べると日本は
その半数以下の受入れ人数となっているものの、1999年には5~6万人であった留学生数も、
たった4年程で倍の人数となる10万人を突破しました。
当時の景気や大学間交流の時流が拍車をかけたのかもしれませんし、その出身国の
内訳をみると約60%を占める中国のおかげとも言えるかもしれません。

この計画に沿って物事が進んでいくと、これからはよりいっそう言葉の問題や留学生の
就労に関する問題が浮上し、真正面から対応する事項が多々出てくるかもしれません。

気になる言葉の問題ですが、国際語として使用されている英語をはじめ、ビジネスでも
使用頻度が高くなっている中国語・韓国語等、様々な言語に堪能な日本人が増えることにより、
コミュニケーションがさらに円滑に進み、より日本を理解してくれる人が増えるでしょう。

ここで重要なことは、いかに日本側が工夫して留学生達の日本語教育を充実させるか?
という考え方かもしれません。自国と異なる言葉を理解することは、相手国を理解し
そこで生活するために必要な考え方や文化を理解することにつながると思います。

また就労面を考えると、現在の法律では留学生は原則就労できないことになっていて、
採用の際は、本人に対して資格外活動の許可を受けているか念のため確認することが
必要となります。在留資格が「留学」となっているため、就労そのものが資格外活動
とされるからです。

そして他にも労働時間の問題があります。バリバリ働いてもらいたいところですが、
学業が疎かにならないよう在留資格が「留学」の場合、1週間につき28時間以内という
ルールがあり意外と確認を忘れがちなのでご注意いただきたいと思います。
また労働保険・社会保険の適用についての誤解も多く、税金についても特定の相手国に
なりますが2国間の租税条約に基づいた届出によって所得税が免除されるケースが
あったりと、留学生の就労は確認するべき点が意外と多くあります。

昨年秋頃ですが、海外からの中国人留学生達の帰国熱が高まっているとのニュースが
報じられました。このようなニュースを見たり、政府の○○万人計画等を耳にすると、
日本に行きたいという動機付けのために何ができるか、そして日本に来たら
より日本を理解してもらうために何をしてあげて、そのとき法律と現実のギャップを
どうやって縮めていくかが、国際交流や国際貢献の真の難しさと言えるのかもしれません。

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