第9回「戦略的組織改革 経営感覚編」

織田信長に学ぶ勝者の組織改革

皆様こんにちは。残すところ後4回となりました。
今回は織田信長の重要政策の一つである貨幣経済の浸透をもとに、固定資産よりも
現金の重要性(キャッシュフロー)にいち早く気付いたその金銭感覚を紹介し、
キャッシュフローの重要性をご紹介します。

戦略的兵農分離と楽市楽座は織田信長の基本となす最も重要な政策である。
その双方には「銭」がかかわっている。信長は、銭の流通、つまり貨幣経済の確立を目指していたのである。

当時の日本には統一貨幣がなく、中国の明銭や私造の貨幣が混在しており、非常に混乱していた。
それを信長は良銭と悪銭をより分け、一定の換算比率で通用するようにしたのである。
また貨幣の統一にも力を入れている。
貨幣経済の流通により、今までは年一回(農業生産による年貢)しか取れなかった税金を商人を中心する租税体系に変更し、
短期的に税金を搾取できる仕組みを作ったのである。
これがほかの大名とは比較にならないほどの財力に恵まれた信長の財務的戦略であった。

【筆者の一言】
黒字倒産という言葉を皆様もお耳にしたことがあると思います。
これはどういうことかというと、最終利益は黒字であるが、
資金不足で倒産してしまうということです。
我々コンサルタントは会社の状況を判断する場合、決算書から読み取ります。
P/L(損益計算書)は一年の業績を見るものです。B/S(貸借対照表)は会社の今までの積み重ねを見るものです。
基本的にこの2資料でその会社の現状を把握します。
しかし、それらが本当に会社の現状を示すかどうかは疑問符が残ります。
私はよく、利益が出ているのになぜかいつも厳しいというご相談を受けます。
この原因は多くの場合、資金繰りが厳しいというものです。
仮に今100万の現金があるとして、今月、売上を400万挙げたとしましょう。
その売上が現金化できるスパンが一年後とします。
しかし来月その売上を上げるための資金の流出が150万ある場合、いかに黒字だったとしても、
100万しか払えるものがないので理論的にはここで倒産ということになります。
どれだけ未来が黒字でも目の前の資金が足りなければ経営はできません。
これが黒字倒産のメカニズムです。

こう考えるとP/LやB/Sだけでは自社の現状を100%把握したことにはなりません。
つまりキャッシュフローの管理が重要なのです。
昨今キャッシュフローの重要性がよく話題になりますが、こう考えると当たり前の話ですね。
勘定合って銭足らずとはうまく言ったものです。

コメント